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2016年5月28日 (土)

詩:原爆ドーム

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 原爆ドーム

 
この土地は時の中心にあるべきだ
この場所は空間の中心になるべきだ
この建物は魂の中心にもなるべきだ

 絶句の時――その刹那
風景は反転し落下したまま凍りついた
この極限の不条理を誰が受け入れるのか

 
うららかな春の日に凍えはいまだに溶けず
そこにはと涙の河が流れていた
瞬時焼き尽くされた魂たちは安らかになんか眠れない
沈黙のは黒いドームのなかで赤々と燃えている

 ドームのの瓦礫にはドクロの残映が光っているし
レンガの壁には若いの眼差しが張り付いている
その前の空間には髪の長いの影が風と重なっている

 
微風の春の午後だというのに
魂たちは安らかになんか眠れない
赤い涙の河が時空に漂っているかぎり……

 瞬時に焼き尽くされた極限の不条理があるかぎり……
究極のを修復する術を誰も知らない
誰が花束をささげても赤い河は消しえない
凍えたままへ向かって流れている
そして人類に向かって指を指す
その余りに深い罪の意味を――
 

にも拘わらず世界の地図に血の乾く暇もない
憎悪は人のどこに潜んでいるのか
貧困や偏見の谷に眠っているのか
その萌芽はどんな動機で発芽し成熟していくのか
憎悪はどこからやってくるのか
途方もない人の自我への執着からか
その果てない心の練獄はどこへ向かい収斂していくのか

けれど果たして鳥たちは憎悪を創りだすだろうか
けれど果たして獣たちも憎悪を貯えるだろうか
たとえ雨の恵みがなく飢餓にかられたとしても
彼らは不平も言わず苛酷な自然を受け入れている
むろん武器など造らず心の練獄も知らないだろう

この建物は武力の究極の
凍えたが時空に流れている所
私たちはこのドームの只中にひざまずき
憎悪の芽を自我の内側に折り込んで
魂の祈りに向き合わなければならない

この土地が時の中心にあるべきだから…
この場所が空間の中心にあるべきだから…
この建物が魂の中心になるべきだから

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

☆ブログ更新しました。

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