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2016年8月 3日 (水)

甲状腺患者から見えた原爆事故(5)あすか製薬のニュースリリース

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■4月22日あすか製薬のニュースリリース

 以下は、あすか製薬が2011年4月22日出したニュースリリースである。
________________________________

 2011年4月22日
 
 

各 位

        福島県いわき工場の放射線の影響に関するお知らせ

        
                                あすか製薬株式会社
                           

弊社製品は主に福島県いわき工場*で生産されておりますが、今般の福島第一原子力発電所の事故による放射線の弊社製品への影響につきまして、弊社の対応および見解をお知らせいたします。

 1.いわき工場は、福島県南端のいわき市泉町にあり、福島第一原子力発 電所から直線距離で58kmに位置し、避難勧告の対象外の地域にあります。現在、いわき市泉地区周辺では、種々の産業の工場も徐々に生産を開始し、小中学校も4月6日から授業を再開しており、地域の復旧が進んでいます。
 

2.いわき市水道局では、水道水の放射線測定を毎日実施し、問題がないことをホームページ上で公表しています。弊社では、製剤製造工程で使用している製造用水として「日本薬局方精製水」を購入して生産しており、今後も同様に製造用水として「日本薬局方精製水」を用いて生産いたします。 

3.福島県災害対策本部では、県内の大気の放射線測定結果**を毎日ホームページ上に掲載し、人体への影響がないことを公表しています。弊社も、いわき工場において、工場の内外で放射線量を測定し、さらに製品についても測定を行っており、大気中で問題がないとされるレベルであることを確認しています。

 以上のことから、いわき工場から出荷した弊社製品につきましては、放射線の影響について問題はないと考えております。

 弊社は、従来より品質および安全管理に万全を期すよう努めており、放射線量につきましては、今後も引き続き管理を徹底し、監視して参りますので、ご理解をいただければ幸いに存じます。                                           以 上

  *:福島県いわき市泉町下川字大剣1番
 **:いわき市はいわき合同庁舎駐車場で測定

________________________________

 
4月22日付けのあすか製薬の「福島県いわき工場の放射線に関するお知らせ方」のニュースリリースをホームページ上でみた。そこには

1 いわき工場は58キロに位置し避難勧告の対象外の地域にあること。種々 の産業の工場も徐々に生産を開始し、小中学校も4月6日から授業を再開していること。

2 いわき市の水道局では水道水の放射線測定を毎日実施し、問題がないことをホームページで公開していること。いわき工場では、製造用水として「日本薬局方精製水」を購入して生産していること。

3 福島県災害対策本部では、県内の大気の放射線測定結果を毎日ホームページ上に掲載し、人体に影響がないことを公表していること。いわき工場において工場内外で放射線量を測定し、製品についても測定を行っており、大気中で問題ないとされるレベルであることを確認していること。

以上のことから、いわき工場から出荷した製品については、放射線の影響について門題ないと考えると総括している。しかし、その具体的数値についてのコメントは何もなかった。いつから測定したかの日時すら定かでない。


■3月18日雑草に最高690000ベクレル/kgの放射線ヨウ素!


  原発事故直後、3月18日雑草に最高690000ベクレル/kgの放射線ヨウ素が検出され、セシウムも3月28日最高30300ベクレル/kg検出された。
しかし、いわき市のホームページには、このデーターは掲載されていない。 どこが安全なのか……4月6日から小中学校も授業を再開している? 
しかも、4月4日の時点で雑草のヨウ素は110000ベクレル/kg残留している。セシウムは13300ベクレル……4月6日ヨウ素は37500ベクレル/kg、セシウムは5150ベクレルにはなってはいるが、残存している。子供達が、その空気を吸うかもしれないのに……何が安心なのか。

  その不信感は、ずっと私の内部でくすぶり続けた。ともかく、私自身も、そうした環境下に立地している製薬会社の薬を毎日飲まなければならない立場なのである。どうしても、その数値を明らかにさせたい、させなければならないという私の決死の追跡調査は続いた。

4月28日 厚生労働省監・麻課へ電話を入れた。
私は「福島県薬務課にも電話してみたが、薬務課の担当者は工場は「単に許可しただけで、データー管理の責任はあすか本社にあり、最終責任は厚生労働省にある。」と言っていた。ただ、あすか製薬の工場へは電話を入れてくれたそうだ。工場は、「情報は共有するので本社には伝えてくれる」と回答したしのことだった。」と言った。監・麻課の監視官は「あすか製薬のホームページを見たか」と聞くので「見たが納得していない。薬の放射線の基準もない折、安全と一方的に言っても数値の具体がない。少なくとも、データーは、厚生労働省に報告するか公開すべき。」と私は答えた。
「データーの公表させる等は、こちらの権限ではできない。申請とか手続きもあるし……。」と監視官は言うので、私は「放射線が出たと言いながら、一企業が安全を言い切るのはおかしい。ここが無理ならば、今回の経緯を然るべきところへ働きかける。」と答えた。監視官は、「然るべき所はどこか?」と気にしているようだが、私は「この件をもう少し進めてくれそうな所だ。」と事務的に答え電話を切った。放射線が出ているという製薬会社がありながら、何の手も打たない厚生労働省には、失望感しかなかった。

 私は、然るべき関係官庁に連絡を取り、何とか「薬の放射線の安全基準」を設定してもらうべく働きかけてきた。しかし、この時点での私の訴えや働きかけなど何の意味もなかったことが後に分かった。厚生労働省は、経済課と監・麻課で輸出用の添付文書を作成していた。この輸出添付文書は、原発事故後、たった40日で発布された。発布日は4月22日だが、原文には日付がない。日付のない発布文書が、輸出添付文書として発行されたという。(これは、昨年五月情報開示をして、その文面の正確な内容を知った。日付がなかったので、その後、発布日を厚生労働省経済課総務に問い合わた。その折、この添付文書が、日本製薬工業協会に渡されたことを聞いた。)

 
   この事実を知ったのは、実は2011年8月22日のあすか製薬のニュースリリースだったというのは皮肉なことなのだが……。(この経緯の詳細は別枠で取り上げたいと思う。ただ、この文書は、海外の危惧に対する対応策として、外務省からの要請によって厚生労働省経済課と監・麻課が作成したと、一昨年2011年12月21日監麻課の監視官に確認をとったものだということだけは、ここで触れておく。)

 輸出製薬団体の意向を反映して政府見解は急遽作成された模様で、すべての日本の製剤、化粧品、医療輸出品は、安全確認も十分に取られ気配もないまま、たった40日で発布された。そして、輸出製薬会社は、密かに、この政府見解のお墨付きをもらい輸出してしまった。(2011年12月になるまで、私もこのことを全く知らなかった。)この件で問題なのは、当時厚生労働省のホームページにも、マスコミもこの件を報じていなかったということだ。 (私の勘違いかと思い、この事実を知った後、念のため図書館まで出向き朝日新聞と毎日新聞の縮刷版をチェックしたが、これに触れた記事を見つけることはできなかった。)

 
 重ねて言うが、この添付文書は厚生労働省からも報道発表もされず、ホームページにも掲載されなかった。また、国内製薬会社へ通知もされなかったという。 (2011年12月21日厚生労省監麻課に確認を取った折、監視官は言った。「それは欧州委員会から日本の製薬に対して問い合わせがあったので、外務省要請でEU向けに輸出する企業に向けて付けた文書である。ゆえに公開はしていないし、製薬会社へ通達もしていない。」と。

その後、10月漢方の生薬から放射線物質が検出され、12月21日には、厚生労働省は、フィルターを二重にするようにとか通達を出したとを付記した。
昨年12月21日、日本医師会の医療安全課の担当者に確認しても、この文については知らなかった。また、日本薬剤師会総務部の担当者にも確認を取ったが全く知らなかった。薬事新報という専門紙とカイセイ薬局グループのくすり「ホットニュース」にも電話をして確認は取った。しかし、くすり「ホットニュース」は「そういうニュースは知らないし、報道として上がってこないものは掲載しようがない。」と言っていた。

薬事新報は、過去の記事を検索してくれたが「掲載していなかった」とのことだった。「昨年、四月には海外からの危惧があった旨、日本製薬団体連合会からの通達があったと記憶している。」とのコメントがあったが、「そんな文書の件は知らないし、掲載していない。」とのことだった。
 

 命に関与する薬にもかかわらず、医師会関係にも情報が上がらない、薬剤師会も知らない、薬事関係の専門紙も知らない文書――そんな文書が存在すること等、一番末端にいてそれらの薬を飲まなければならない患者たちが、知り得る訳もなかった。(輸出となれば、海外の向こうに数知れない患者がいると予測される。)本当に全国全ての日本の製薬会社の製剤の安全性に自信があるものならば厚生労働省は、少なくとも情報発表があって然るべきではなかったか。原発事故直後から、SPEEDIから始まり、放射線数値の隠蔽が国内に蔓延していたことは知っていたが、海外へ向かっても、政府は綿密な安全確認ができない段階で、日本国中の製剤が安全だとする見解を出してしまった。

この後、漢方の生薬から放射線が検出されて、厚生労働省はあわてて通達を出すのである。こうして、まだ福島第一原発事故の汚染地域が拡散されているにも拘らず、海外へ向かって、日本の製剤のすべては安全とされる政府見解が、たった40日発布されてしまった。私は原発事故直後、何度も「薬の放射線の安全基準」を作成してくれるよう要請しても、それが叶わなかったのは官僚の次元では無理なのかもしれなかったという感想はある。当初、このことを厚生労働省監・麻課にいくら迫っても、「その権限はない」と答えていた。そのことは無理からぬことだったかもしれなかったと、今となれば思う。

 
しかし、限りなく濃い放射能が雑草から検出されていて、文部科学省からそのデーターがインターネット上に流されているにもかかわらず、それを放置し安全性等全く無視したまま、流通最優先で当該製薬会社に緊急輸入のイニシャティブを取らせた厚生労働省の対応は、本当に分からない。シェアの問題も含め、放射線原発事故から二年も経ちながら、ねじくれた医療制度の矛盾には何も手が着けられていない現状がある。
 

私にはこの40日で発行されてしまった輸出向け添付文書の構図は、今回の原発事故における当時の政府の被曝者への対応と相似形にも見える。政府は行き当たりばったの不透明な対応で国民を欺いた。
事故後二年余、被曝者は完全に「被験者」として厚い壁に囲われている。
全国に散らばった被曝者も環境省管轄の機関によってデーター収集網が構築された様子である。あたかも原発事故等なかったかのように、人々はこうした話題さえ避け、世論も話題を他に転嫁させようとしている。
 

振り返えれば、私は2011年原発事故当初4月6日から四回厚生労働省監麻課に電話していた。(この件に関しては2011年三月に問い合わせをしたが、あっちこっちたらい回しにされ、やっと窓口にたどり着いたのは四月に入ってからだった。4月6日、4月12日、4月21日と、4月28日と四回電話している。前日4月21日輸出向けに添えた添付文書が発行された日もしている。しかし担当者は、そんな気配はおくびにも出さなかった。) 
 

いわき市に立地するあすか製薬に関しては、雑草のデーターが脅威的に高かったし、現に、出荷時に放射線は検出されたと聞いていたので、検査データーを掌握をしてほしい旨何度も依頼した。が、厚生労働省は、あすか製薬のみならず、福島県に立地している他製薬会社の放射線検査のデーターを把握していたように私には見えなかった。


結局、あすか製薬に関しては、おおむね「薬の供給量が不足している、ガイガーカウンターが足らない。」そんな内容に収斂していたと思う。
 私はこの煮え切らない回答に見切りを付け、詳細な経緯を記した手紙を医師会に郵送することにしたのだった。            (つづく)

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☆ブログ更新しました。

☆この記事は2011年原発事故後1年後に書かれたものです。オリンピックの予選地区に福島が起用されるとかの話も出てきて、原発事故を風化させようとしている動きがある中、当初、いわき市で
690000も放射線ヨウ素が雑草から検出された事実を、風評被害と確信的に封印してきた時のいわき市政のことを、忘れてはならないので再度、ここに掲載しています。

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